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「痛いッ!!痛いから!!一旦、落ち着いて!!話をッ…」
女の子とは思えない程の力で、前へ後ろへ揺すれて、首や胸の辺りを痛みが襲っている。
しかし、それを伝えても、彼女が、力を弱める事は無く、むしろ、強くなっていった。
「うるさいッ!!金属の塊をぶつけられた私の方が、その何十倍も痛いわァ!!!」
もう辺りが、夜の暗闇に包まれている中、この一帯だけは、俺と女の子の叫び声で、騒々しいものになっていた。
ウゥ…!!このままだと窒息しちまう!!何とか…この子を、落ち着けないと…!!
頭の中が、少しずつ真っ白に塗り潰されていく中、俺は、咄嗟に、両手を前方へと突き出す。
「ゥキャァ!!な、何をする!早く、手を退けろォ!!」
我ながらよく思いついたものだ。怒っていている相手であっても、視界を奪われたら、流石に動きが止まるだろう、と。
俺の前に出した両手は、女の子の目を覆い隠して、視界を奪う事に成功したのだ。
「て…手を退けて欲しいなら…!まず、俺を掴んでる手を、離してくれよ…!!」
首が若干閉まっているため、掠れた声になりながらも、思いは伝わったらしく、俺を掴んでいた小さな手は、スッと離れていった。
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