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辺りの暗闇は、さらに、夕暮れのオレンジ色を侵食していき、頭上には、星が一つ二つと浮かび出ているくらいだった。
当然、星の光程度じゃあ縦穴の暗闇を打ち消す事は出来ず、底に居るであろう女の子を見付ける事は出来なかった。
「クソ!暗くてよく見えない!!早くしないといけないのに…!!」
気持ちは焦るばかり…けど、それに支配されて、何も考えずに見えないガラクタを掘って出来た縦穴を降る…なんて無謀な事はしないでいた。
大丈夫!まだ冷静で考えている!!大丈夫…何か良い方法を見つけてみせる…!!
とりあえず、あの女の子が無事なのかを確かめる事からだと、俺は、縦穴の底へと向けて声を発する。
「おーーいッ!!大丈夫か!!意識があるなら、返事をしてくれ!!」
意識があるのなら聞こえないハズのない大声でも、返事の声は返ってこない。声は、闇に吸い込まれて消えていった。
それでも、俺は続けて叫ぶ…どうか、返事の声が返ってくるようにと、祈る思いで…
「頼むから、何か返してくれよ!!!」
と、暗闇から返ってきた。
投げ入れたガラクタが…物凄い速度で。
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