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「んあぁぁぁ!!!掘り出し物が出て来ねぇ!!!」
場所を決めてから、大体30分くらい黙々と掘り進めているが、使えるような物が全く見当たらない。
くそっ…選んだポイントが悪かったのかな…こんだけ掘っても出ないなんて…最悪だな…
シャベルを、ガラクタに突き立てて、額を流れる汗を拭いて、ゆっくりと空を見上げた。
綺麗な夕暮れのオレンジ色で染められていた空が、徐々に、夜の暗闇に塗り替えられ始めていた。
すると、俺の脳裏に嫌な記憶が沸き上がってきた。
このガラクタ置場は、前述したように、スクハの町の外れにあって、それと、森林と呼ぶまでにはいかないが、それでも、鬱蒼とした木々がガラクタ置場の奥に続いていて…夜になると、さらに不気味さを放つようになる。
…そして、昔…俺は、親父に手を引かれてその中に入っていって…はぐれて、泣きながらさ迷った事があって…それから、あの森は、俺のトラウマになっている。
…仕方ない。そろそろ帰るとするか…さて、この落とし穴みたいなところから這い上がらないと…
自分の身長をすっぽりが収まってしまうほどの縦穴から、シャベルを先に上にへと放り投げておく。
両手を空けて、手を掛けれるような出っ張りを探して、ガラクタが崩れないように、慎重に上っていった。
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