2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぅ…やっと登りきった…!つか、俺って、気付かない間にこんなにも掘っていたのか…」
軽い崖登りを味わいながら、自分で作った深い縦穴を、上から覗き込むように見る。
あ~…そうか。途中から、やけくそ気味に掘ってたから、知らない間にこんな…
自分が、汗を流して頑張った結果が、目の前にあるのに、成果が無い事に落胆し、ため息がこぼれた。
「はぁぁ~~……こんなんじゃ、天国にいる親父とお袋に申し訳が立たないな…」
また、空を見上げる…天国なんて見えるわけないと分かっていても、それでも…空を見上げていた。
感傷的な気分に浸っている俺…肌寒い風が頬を撫でようとも、関係無く空を見上げいたオレ……だが。
「ありゃ……」
静けさで満たされていた辺りを、オレの腹の虫が、大きな咆哮で切り裂いた。
辺りに誰もいないが、かなり大きく鳴ったためか、オレは、顔を紅潮させた。
「…さ!!帰ろ帰ろ!こんなところで立っていても、腹は満たされないってな♪」
感傷的な気分から解き放たれたオレは、また、シャベルを肩に担いで、来た道を戻り始めた。
最初のコメントを投稿しよう!