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「…………………」
ソッと、縦穴の中を覗き見る…しかし、辺りが暗くなってきた事があって、一番底までは、見えなかった。
けど……だけど…見えていないんだけど…すぐに分かった……この縦穴の下に…
「何か…いる…!?」
そう感じた途端、暗く見えない底の闇から、上にいるオレにへと向かって、手が伸びてきた。
「ヒッ!?わっ!わわっ!!」
驚いたのと怖じけづいたのとで、足を一歩、後ろへと退いた瞬間、ガラクタの海に足を取られて、尻餅を着いて転んでしまった。
痛っ……!?
ガラクタに手を着いた瞬間に、左手に痛みが走る…転んだ拍子に、擦りむいたみたいだ。
オレが、自分の傷に気を取られていると、縦穴から聞こえてくるガッシャガッシャという音は、段々と近付いてきていた。
音が、底から上へと上ってくる…多分、さっきまでのオレと同じように、縦穴を攀じ登っているんだろう。
「は、早く…!!逃げないと…!」
でも…このまま走って逃げても、もし、追いつかれでもしたら…!?
真っ当に殴り合いなんてした事が無いオレなんか、一瞬で殺られちまう!!
そんな事を考えている間にも、音は、地上へと近付いてきていた。
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