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「ど、どうする!?逃げる事は出来ないし、まして、戦うなんて…!?」
追い詰められて、頭が若干パニック状態にいた俺に、突然…ある事が思い付いた。
そうか…今、あの縦穴の化け物は、登るのに両手が塞がっていて…ここには、沢山のガラクタがある…!!
「…今なら、やれる!!」
思い立った俺は、左手の痛みを我慢して、自分の近くに転がっていた、ちょっと大きめの金属製のガラクタを両手で持ち上げて、縦穴へと近付いて行く。
…ガッシャ…ガッシャ……
さらに、地上に、近付いてきている。
ヤバいっ!!化け物が地上に出てしまったら、俺は、呆気なく、捕まって…喰われる!!!
「い、急げっ!!!」
蟹股歩きで、重たいガラクタをせっせと運ぶ俺……そして、僅かの差で、俺の方が先に、縦穴の淵にへとたどり着いた。
よし!!間に合った!!これを、上から落として、下にいる化け物にぶつける!!…これしか、俺に、生き残る術は無い!!!
「くらえ、化け物!!!」
小走りの速度そのままに、俺は、両手に抱えるガラクタを、縦穴へと投げ込んだ。
「あっ………」
それは、俺の声。
「ええっ!!??」
それは、化け物の声。
俺が、縦穴の化け物と思っていたのは、見た目、俺とそう歳の変わらない、淡い黄色の髪の女の子だった。
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