沈む泥棒

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やはり三人はいるか… 僕は一人、思いふける。 僕を含めて、三人はいる。が、リスクが大きい。 まず、成功するという可能性は高いが、失敗する可能性がない、というわけではない。 それをうまく説明し、そして納得してもらい、仲間になってもらわなくてはいけない。 しかも説得の失敗は、絶対に許されない。 失敗すれば、良心の呵責から警察にタレこまれる可能性だってあるからだ。 ならば、人選が重要になってくる。 ある程度は悪い人間でないとダメだ。 悪い事に抵抗がないやつ。 しかし、目的を忘れてはいけない。 という、僕自身の歯止めがきいた。 絶対に、今回の計画でケガ人を出してはいけない。 これは奴であっても、同じ事だ。 しかし、これは先のタイプの人間には抵抗がない分だけ、危険を増やすだろう。 口約束をさしたところで、自分を犠牲にしても、どんな状況に陥っても、絶対に守るという、信念を持ちあわしている人間でないと、ダメだ。 信念と狂喜、このバランスがとれていて、かつ冷静で非常識、そして僕のいう事に従順でいられる人間。 ………いないな。いない。そんな人間、世界中捜してもいない気がする。 やはり、一人だ。孤独な復讐…
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