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僕は縁側に座りながら、ありえないぐらい眩しい太陽を浴び、こんな事を考えている。
もし今、目の前に人が通ったら、気持ち良さそうだな、と思うことだろう。
まさかこんな事を考えているなんて、あの憎たらしく光る太陽でさえ、思うまい。
僕は以前の記憶を振り返る…
[おい、少年]
僕は自分の事だと思わずに、通り過ぎようとした。
[おいって、待てよ。]
肩を乱暴に掴まれた。
振り返ると、高そうな指輪やらスーツ、趣味の悪いヘビ柄の皮靴を履いた、中年おやじが立っていた。
[知っているか?]
[は?何をですか?]
[世の中の事をだよ]
[え、いや、まだそんなには知らないです、学校で学ぶ事ぐらい]
[いい事を教えてやる]
[いい事?]
…酒くさい…
[お金と名声、これを手にいれるやつは、人を幸せにするやつか、人を不幸にするやつに決まっている]
[……へ~、そうなんですか、それでおじさんは、どっちなんですか?]
[もちろん、不幸にする方さ]
[…そうなんですか…]
自分でもわかる、何かが音をたてて、崩れかけている、壊れかけている。
[今さっきもちょうど、不幸にしてきたとこさ]
と、おもむろに札束を出した。一枚の端っこに、血がついていた。
こいつ…何を上機嫌に…
[ハハハ、やはり金はいい、少年よ、おまえも人を不幸にしろよ]
そういって奴は去っていった。
許さない…僕は心の底からそう思った。
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