沈む泥棒

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人を不幸にする。 それはすべて加害者のいい分だった。 不幸にされた人間の、その一切を理解していない。 相手がどんな気持ちで、どんな現実に落とし込まれるかを、想像すらしていない。 さもカッコいいだとか、強いだとかで、簡単に片付ける。 僕は目には目を、そう思った。 相手に不幸を与えるやつには、不幸を与える。 それが平等。 警察も法律も万能ではない。多くの人間が関わってくるからだ。 人間の心が関わっている以上、完璧な平等はありえない。 だからぼくのこの主張も、完璧ではない事を知っている。 だが、僕の中でだけでは、誰であろうとも、絶対的に守らなければならない平等、それでいい。 自分を動かす海よりも深い、深い思い。
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