沈む泥棒

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今日の事は、世間には一切公表されないだろう。 新聞記事にもなるまい。 たった一人の悪を駆逐したところで、何も変わらない。 だが、逆に、少なくとも一人の悪のすべては終わらした。 その事実は、僕の人生には、絶対に無くてはならないものだった。 それをせずして、僕は死ねなかった。 例え一人よがりで、自己満足だったとしても、僕の人生にとっては守らなければならない、絶対の誓いだった。 …だから僕は…僕の人生を賭けた… 奴と僕の違い。 唯一僕が勝っている事、それは年齢だった。 当時17歳だった僕はまず、自分の情報をあらゆる方面へと流した。 奴を調べている人間がいる。 奴の方からアプローチをかけてくるのに、時間はかからなかった。 そして僕は言った。 あの言葉に感動したのだ、だから調べていて、どうしても、知り合いになりたかったのだと。 奴は特有の気持ちの悪い笑みを浮かべ、なんでもするか?僕に訪ねた。 僕は奴の付き人になった。 ありとあらゆる世話を、こなすようになった。
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