熱帯魚の憂鬱

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おととい   「ぼくたちがみんな生まれるときに泣きわめくのは、この世界に生まれてしまったことを嘆いてるんだって」 「なに、それ」 「シェイクスピア」 「ふぅん」 毎日同じ白い壁を見ていても飽きるので、わたしたちはよく喋る。たまには本だって読むし、ゲームもする。でも外には出られない。外にでると死んでしまうからだ。外にはわたしたちの体には合わない酸素という毒薬が漂っていて、その世界の住人しか住むことができない。 「ぼくたちも泣いたかな」 「泣くってなに」
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