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「ただいまー」
ぎい とドアの重い音がする。
「あ、義嗣お帰り。早くほら」
「ほら?」
ほら と言ったお母さんは、明か僕に何かを貰おうと手を出している。
「ほら!!塾のテスト!!」
「あー、」
あれか、と思いお母さんに言った。
「まだ、返ってきてない」
「…え?」
お母さんは一回困った顔をしてから、ふっ、と口の端で笑った。
あ、馬鹿にしてる。
「嘘ついてもばれるのよ?」
「嘘なんかついてない」
「本当に?頭が悪い子の言うことなんて、信じられないわ」
あーやだやだ、と鼻で笑われる。
僕、その笑い方嫌い。
「嘘じゃないよ」
「でも、忠嗣は返ってきてるのよ?」
「忠嗣と僕はクラスが違うから……」
語尾の声がだんだんちっさくなって、仕舞いには「 ら 」の声は聞こえてるのかすら解らない。
「あー、そういえば義嗣は最近クラス落ちたもんね。"2つ"も」
「…っ、」
気にしてる事を、馬鹿にしたようにお母さんは口から放った。
仕方ないじゃんかっ!!
とも言えない状況におかれている僕は、どうしようもない。
友達と遊んでるひまがあれば、勉強をする。
昨日より、今日。
今日より、明日。
より多くの問題を解いていく。
もう、嫌なんだ。
だからこそ、僕は中学受験するんだ。
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