LESSON1‐1

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「ただいまー」 ぎい とドアの重い音がする。 「あ、義嗣お帰り。早くほら」 「ほら?」 ほら と言ったお母さんは、明か僕に何かを貰おうと手を出している。 「ほら!!塾のテスト!!」 「あー、」 あれか、と思いお母さんに言った。 「まだ、返ってきてない」 「…え?」 お母さんは一回困った顔をしてから、ふっ、と口の端で笑った。 あ、馬鹿にしてる。 「嘘ついてもばれるのよ?」 「嘘なんかついてない」 「本当に?頭が悪い子の言うことなんて、信じられないわ」 あーやだやだ、と鼻で笑われる。 僕、その笑い方嫌い。 「嘘じゃないよ」 「でも、忠嗣は返ってきてるのよ?」 「忠嗣と僕はクラスが違うから……」 語尾の声がだんだんちっさくなって、仕舞いには「 ら 」の声は聞こえてるのかすら解らない。 「あー、そういえば義嗣は最近クラス落ちたもんね。"2つ"も」 「…っ、」 気にしてる事を、馬鹿にしたようにお母さんは口から放った。 仕方ないじゃんかっ!! とも言えない状況におかれている僕は、どうしようもない。 友達と遊んでるひまがあれば、勉強をする。 昨日より、今日。 今日より、明日。 より多くの問題を解いていく。 もう、嫌なんだ。 だからこそ、僕は中学受験するんだ。 .
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