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「…何?なんなの…!?」
アリスは、愕然とした。そう、家の周りにはたくさんの
男
女
子供
老人
ありとあらゆる人々が群れをなして家を取り囲んでいる。軽く吐き気を覚えた。
「私、何か悪い事したかしら!?気持ち悪い、汚らわしいわ!!」
アリスは必死に考えた。何か悪い事をしただろうか?
『町中のポストにカエルを入れた』
『居眠り中のおじさんはカツラだったので、それを引きはがしてサキと蹴り合って遊んだ』
『小学生が楽しそうにしていた缶蹴りの缶を、思い切り踏み潰してどこかへほうり投げた』
『気に食わない先生の靴の中に画鋲を入れようと思ったが、痛そうなのでガムを入れた』
…こんなもんか?
「心当たりがあるのはこれくらいかな…。そんなに根に持つなんて…」
思い切ってアリスは、窓を開けた。観客は、彼女を見つけると歓声をあげた。
「うおおおおおおお!!!!」
アリスは耳が張り裂けそうになった気がした。しかし、グッと我慢してスピーカーを取り出した。音量MAX!!
キイイイイン!!!!
キャアッ!!!
エコーの嫌な音と共に、それに反応した女の子の悲鳴が聞こえる。
「みんな静かにして、私の話を聞いて!!」
そう言うと、一斉に静かになった。
「私は今起きたばかりで、何が起こったのか知らない!!あなたたちが朝から騒がしくしているのも何故なのか分からないの!!もしも悪い事をしたのなら、謝るわ!!私は何をしたの!?」
観客は口々に叫んだ。
「知らないのか!?」
「君は!!」
「倒したんだ!!」
「倒したのよ!!」
「西の幽霊を!!」
「昔から困らされていたあの忌ま忌ましい幽霊!!」
「わしらは、もう悩まされなくていいんじゃ!!」
「作物を荒らし」
「少女を連れていき」
「動物を食い荒らした」
「あの化け物!!」
「君は勇者だ!!」
「光だ!!」
「希望だ!!」
「アリスばんざーいっ!!」
「「ばんざーいっっ!!!!」」
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