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「私がっ!?」
アリスは困惑した。
「みなさんっ!!近隣の方々に迷惑だから、帰って下さい!!せめて、静かにして!!それとうちに入ってきたら警察にだしますからね!!あと、近所の方々の物とうちの物を絶対壊さないで!!」
アリスはそれだけ言うと、窓に厳重に鍵をかけた。下へ行き、母に話を聞いた。
「あなた、西の幽霊を倒したんですってね」
「よ、よく分からなくて…」
「新聞、見なさい。」
母から渡された新聞には、一面アリスの顔が載せられていた。見出しはこうだ。
“少女が西の幽霊を倒した!?少女の正体はこの美少女!!”
「そうだわ…昨日、可愛いあの幽霊を抱きしめたら、消えてしまったんだ。」
「どうするの?この人たち」
「どうしようっ!!」
母が少し俯く。
「それとね、こんな事言いたくないのだけど、」
「えっ?」
「あなたにその西の幽霊、ついてしまってる。」
「はぁ!?」
そう、幽霊は彼女の中に入ってついてしまったのだ。
「私、見えるのよ。幽霊。」
「えっ…!?」
「でも安心しなさい。昨日ね、私彼女と一晩話したの。そうしたら、もう悪さはしないらしいわ。出来る事なら、アリスに仕えたいのですって。アリスがそれを認めてくれるなら、アリスを守るって。」
「別に良いけど…私は彼女が見えないわ。」
「いいえ。もう見えるはずよ。後ろ、見なさい。」
アリスは恐る恐る振り向いた。そこには
筋肉が素晴らしく美しい男
…男?
「…お母さん」
母はコクリと頷いた。
「彼女、少し恥ずかしがり屋なのよ。でも、やっぱりたくましいわ。名前はヘンゼル。」
男(?)は、体をくねらせて近付いてきた。
「よろしくね、アリス。私ヘンゼル。私にもあなたにそっくりの妹がいたのよ。だから気に入っちゃったわ。うふ。私をお姉ちゃんと思ってちょうだい。」
彼(?)にギュッと抱きしめられたアリス。青ヒゲがとてもちくちくする。
「よ、よろしくねヘンゼル。も、もう離していいかな?」
「ああっ、ごめんなさい!!私ったら力いっぱい抱きしめちゃって!!痛かったでしょ…?」
「その汚い青ヒゲがね」
とは口が裂けても言えないアリス。精一杯ニッコリとヘンゼルに笑いかける。ひきつってないかなっ?
「ヘンゼルも捜し物があるんですって。」
「そうなの?」
「ええ。妹を探しているの。」
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