三匹の豚

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三匹の豚

「アリス、早く帰ってきなさいよ。最近は物騒なんだから」 「分かったわ」 三年前、赤いずきんをかぶったアリスは、祖母の家へリンゴを届けにいった。その晩、今にも落ちてきそうな満月は、嫌にぎらついていた。 「早く行かないと、おばあ様が待ちくたびれてしまうわ」 わくわくしていたアリスであった。しかし、数分後に彼女に起きる惨劇を誰も知らなかった。三匹と、一匹を抜いて・・・ 誰の家に着いても、必ずノックをするのがこの世の常識というものである。しかし、アリスはそのような常識はハナから無かった。この日も勢いよく祖母の家のドアを開け放った。 「おばあ様!!」 しかし返事は無かった。 (静かだわ・・・) 不信に思ったアリスは、静かに部屋の奥へ入っていった。そして、寝室のドアをゆっくりと開けたときだった。そこには、かじってある青リンゴと、老婆の手が転がっていた。 「きゃあああっ!!!!」 アリスは倒れている祖母を見つけ、叫んだ。眠っているようだが、寝ているのではない。生気を失っているだけなのだ。何者かによって生を失ってしまったのだ。 「残念だったね」 「!!」 後ろから声がした。振り向くと三匹の子豚が立っている。中くらいの豚が言った。 「さっき、おばあさんの悲鳴が聞こえたんだ。急いで駆け付けたときにはもう・・・」 大きい豚が言った。 「お嬢ちゃん、残念だったな。でもよ、いつか死んじまうもんなんだぜ。俺達のばあちゃんも殺されたんだ・・・」 「何ですって!?誰に」 「オオカミだ!!」 小さな豚が叫んだ 「きまってるだろ?オオカミは俺達が大好物だ。食べるために殺したに違いない。」 「でもおばあちゃんは・・・毒で殺された。食べるつもりは無かったんじゃ・・・」 「んなわけねぇだろ!!」 大きい豚がアリスの赤ずきんを掴み、投げ捨てた。 「食われた食われねえじゃねぇだろ!!お前のばあさんは殺されたんだぜ!!いいな、オオカミを恨め!!お前はオオカミを恨む事だけ考えてればいいんだよ」 「兄さんやめなよ・・・。とにかく、犯人はオオカミさ。アリス、本当に残念だったね。それじゃあ・・・」 中くらいの豚が、大きな豚をなだめながら帰っていった。 「おばあちゃん・・・」 アリスはこの日を境に、愛する祖母を殺したまだ見ぬオオカミを日々恨むのであった。
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