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「この弾痕、あと2cm右だったら僕も君も死んでたぜ・・・」
血はとどまる事を知らず、アリスの顔に滴った。
「なんで私なんか・・・」
「君のおばあちゃんを殺していないから助けたんだ。雲が風に身を任せるように。」
アリスは顔をふせた。
「無実のあなたを殺す所だった・・・おばあ様を殺した者と同じ事をしてしまう所だった・・・」
「謝るのはいいからさ・・・手当してくれない?」
アリスは耳の傷を、せめてもの償いとして手当した。
「オオカミは童話にしても絵本にしても何にしても悪者だ。可愛いらしいウサギや豚を食べるんだからな。もしも豚が目の前で走ってるのは、人間にしたらステーキが走っているようなものさ。君たちはきっとそれを追いかけ、捕まえ、食べるだろ。それと同じさ・・・。いいやつか悪いやつかなんて、そいつ自身を知らないと分からないもんなんだぜ。」
アリスはステーキが走っているのを想像して笑った。
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