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「ん……?」
なんだか久しぶりによく眠った気がする。
それはいいのだが、目を開いた瞬間に見知らぬ景色が視界に入ってきた。
「ここ……、どこ?」
体を起こし、よく周りを見てみると、ここは病院の一室なのだと理解した。
なぜなら、美咲の体はベッドの上にあり、すぐ近くに医師らしき人物がいるからだ。
美咲がオロオロとしていると、医師の男性が話しかけてきた。
「君、鈴木美咲君…という名前だよね?そろそろ君の保護者の代わりの人が来るからね」
「……?」
この状況が全然掴めない。
何故俺は病院にいるのか、保護者の代わりの人って一体誰なのか。
(ん?少し頭が痛いし、腕に傷がある……)
でも、それがわかった所で、もっとワケがわからなくなるだけだ。
うんうんと悩んでいる美咲に、医師は笑顔で話しかけた。
「それにしても、よく頑張って女子高生を助けたね。あの娘(こ)は薬物乱用者だったみたいでね…。でも、ひと一人の命を助けるということを君はしたんだ。それはとてもすごいことだよ」
長ったらしく、自分のことを褒めてくる医師。
助けた?
どうやって?
「あ…、あの、俺、よくその言葉の意味がわからないんですけど………、一体、いつ俺は何をしたんですか?」
このまま褒められていてもしょうがないので、思い切って聞いてみた。
すると、医師は自分のことを思いっきり目を見開きながら見てきた。
(何かカンに触るようなこと言ったかな?) でも、医師のカンに触ろうが何だろうが、聞かなければ美咲はどうすることもできない。
何か怒られたらどうしようと考えていると、医師は急に変な質問をしてきた。
「美咲君、君の年齢はいくつだい?」
何故そんなことを聞かれたのかわからないが、とりあえず答えてみた。
「十八……ですけど?」
「学年は何だい?」
「え?高校三年生です」
「何だって?!」
医師のその驚きという二文字しか表していない大きな言葉が、美咲の耳へ入っていったすぐ後に、ここの室内を開けるドアが勢いよく開いた音が耳へ入ってきた。
「美咲!!!」
ドアの方向へ目を向けてみると、そこに居たのは……
「秋彦……さん…?」
「美咲…、お前、事故に遭ったんだろう!?大丈夫なのか!?」
(―――…事故?俺が!?)
美咲の頭の中はわからないことばかりで爆発しそうだ。
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