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朝。
ジリリリリリリと目覚ましの音が近所中響き渡り、住人は「またあの子か。」と苦笑する。舞台はそんな平和な街。
バタバタと走り回りながら支度をして、少し寝癖のついた髪を緩くみつあみに結う。
『はうぅぅ~遅刻ですぅ!!』
情けない悲鳴をあげて玄関から走り出た少女【木漏れ日 明日葉】は、家から数歩離れたところで豪快に転んだ。
『いっ…痛いです。』
涙目になりながら血の滲んだ膝にふーふーと息を吹き掛ける様子はどこか哀愁を帯びており、何故か過虐心を煽られる。
ちなみにこれは珍しい事では無く、毎朝見られる、かなり日常的な光景であった。
そう、ここまでは…
?ヘタレ少女と魔王陛下?
『……ほぇ?』
突然出来た頭上の影に明日葉がなんとも間の抜けた声を漏らす。
仰ぎ見ると、何かが物凄いスピードで空から降ってくるのがかろうじて視認出来る。
『っ…ぅきゃぁぁぁぁぁ~!!』
筋力を腕と足に総動員させ後ろ手をついたまま思い切り後退すると、直前まで明日葉が居た地点に黒い物体が物凄い音をたてて落下してきた。
『ななな何なんですかぁ!?』
明日葉は幾度か瞬きを繰り返した後、煙りをあげる落下地点に恐々と近付いてみる。
(隕石とかだったら、先生遅刻にしないでくれたりしないでしょうか?)
下心満載のこの行為を、明日葉は後々大いに悔やむことになるのだが、現時点では誰も知る由も無い事だった。
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