どこまでも

2/4
前へ
/18ページ
次へ
出会いは春、桜が綺麗な花見の席。 新入社員の僕と黒澤さんは花見の席取りから話すようになった。 黒澤さんは大学の出で僕は高卒。 能力的には黒澤さんのほうが先輩だ。 僕にはこの仕事は向いてない。 何度か言われたことがある。同僚や先輩は僕が嫌いらしい。 黒澤さんは違うみたいだけど。 「飲まないの?」 黒澤さんが僕に聞いた。 「飲めないんです、お酒弱いから」 「そうなの?じゃあ一緒に飲もう?私は強いほうなんだけどね」 黒澤さんはビールを飲みながら僕と話す、僕も片手にはビールを持っているがまだ半分しか減ってない。 「大丈夫?顔赤いけど」 「だ、大丈夫です…顔に出ちゃう体質なんです」 ちょっと慌て気味に答える僕、だって黒澤さんが近すぎて胸が高鳴っているから。 恋愛なんて産まれてこの方したことなんてない。 チビな僕は身長160センチ。黒澤さんはモデルみたいに足が長くて細い上に美人ときた。赤くなるなと言うほうが無理だ。 「皆さん楽しそうですね」 「そうね」 黒澤さんはそう言って空になった缶を捨てる。 「混ざってきたらどうですか?僕といても楽しくないでしょ?」 黒澤さんは苦笑いすると「ごめんね」と言って立ち上がり、騒ぎの方へと歩いていく。 その後ろ姿がすごく切なくて僕は持っていたビールを一気に飲み干すと次へと手を伸ばした。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加