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出会いは春、桜が綺麗な花見の席。
新入社員の僕と黒澤さんは花見の席取りから話すようになった。
黒澤さんは大学の出で僕は高卒。
能力的には黒澤さんのほうが先輩だ。
僕にはこの仕事は向いてない。
何度か言われたことがある。同僚や先輩は僕が嫌いらしい。
黒澤さんは違うみたいだけど。
「飲まないの?」
黒澤さんが僕に聞いた。
「飲めないんです、お酒弱いから」
「そうなの?じゃあ一緒に飲もう?私は強いほうなんだけどね」
黒澤さんはビールを飲みながら僕と話す、僕も片手にはビールを持っているがまだ半分しか減ってない。
「大丈夫?顔赤いけど」
「だ、大丈夫です…顔に出ちゃう体質なんです」
ちょっと慌て気味に答える僕、だって黒澤さんが近すぎて胸が高鳴っているから。
恋愛なんて産まれてこの方したことなんてない。
チビな僕は身長160センチ。黒澤さんはモデルみたいに足が長くて細い上に美人ときた。赤くなるなと言うほうが無理だ。
「皆さん楽しそうですね」
「そうね」
黒澤さんはそう言って空になった缶を捨てる。
「混ざってきたらどうですか?僕といても楽しくないでしょ?」
黒澤さんは苦笑いすると「ごめんね」と言って立ち上がり、騒ぎの方へと歩いていく。
その後ろ姿がすごく切なくて僕は持っていたビールを一気に飲み干すと次へと手を伸ばした。
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