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その不幸は大会中に起きた
男はいつもどうり、いやむしろそのスピードにさらに磨きをかけた走りでその日の予選を勝ち続けた
その日の男の走りは軽かった
いつもの獣のような荒々しさではなくまるで足に翼を付けてるような軽やかで優雅な走りだった
その走りには女もきずいていた
女にはまるで男の足に大きな翼がついているのかと錯覚すらおぼえた
男は走りのいただきに体半分いれ始めたところまでになっていた
最終予選
競技中止
男は躓いただけだと思った
しかしそれは会場のどよめきと共に右足に激痛が走った瞬間に違うと悟った
円滑に回っていたすべての歯車が一つにヒビが入り音を立てて崩れ去ったのだ
男は幸せの絶頂から極限の地獄へ転落していった
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