絶望の淵に

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男はすべてを失った 限りなく頂点に居た男は 瞬きをする間に 底辺に転落した 幸福からの絶望これほどの心の痛みは計り知れない 彼は翼を無くした鳥のようだ 飛びたいのにもう飛べない 走りたいのにもう走れない 彼の体は二度と フルパワーで走れる足を 失った 彼の生きるすべてであった 走るということを 失ったのである 男は入院しだして 窓から外を眺めることが 多かった 彼の目に見えるもの すべてはモノクロに見えた 絶望の淵だった
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