天祢捺希と天祢冬子。

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誘拐されて― 閉じ込められて― 告白されて― 殺されかけて― 「つまり誘閉告殺されたんだよ!!」 『意味わかんねぇよっっ💢!!』 携帯の電話口で、オレはクラスメートの矢口啓吾(やぐち けいご)に怒鳴られた。 オレの体感した恐怖を話して、何で怒鳴られなきゃいけないんだ!! (殺される―) そう思った。 でも、鋏はオレを掠めて刺さらなかった。 それの一時の安心感か、短時間で訳の分からない事が起こりすぎた事の疲労感かで、オレは気絶したんだ。 次に目が覚めた時、オレは自宅にいた。 母さんの話によると、“ある女の子”―恐らく冬子さんから連絡があって、オレを迎えに来てほしいとの事だったらしい。 オレは起きてみるなり、ぐちぐちこっぴどく怒られたよ。 『大体天祢冬子がんな事するわけねーだろバーカ!!それになぁッお前なんかが告られてたらオレはとっくにラブラブだっつーのちくしょぉぉ!!!!』 「あっちょっと∑」 プー、プー… 怒鳴られるだけ怒鳴られて、一方的に通話は切られた。 矢口に電話したオレが馬鹿だった。
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