第九章

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使用人を待たせるのも悪い、とメルは爺さんを起こしに行こうとした。 だがその行動はルナによって制止される。 「どうしたの?ルナちゃん。お爺ちゃんを起こさないと待ってる使用人の人が可哀想だよ」 メルは何故ルナが自分を引き止めるのか分からない、といった顔だ。当然と言えば当然だが。 「ほ、ほら爺さん昨日は結構善戦してたからさ。もう少し寝ないと戦いの疲れも取れないと思うよ。」 「でも使用人の人を待たせるのも良くないし……」 「大丈夫だって!あの人だって仕事なんだから少し待つくらい平気だよ!」 先程の爺さんの突如の襲撃はルナにとってそれなりにトラウマになっていた。 いつもみたいに記憶が飛んでいるなら良いが、もし記憶が残っていたらと思うと震えが止まらない。 ここはゆっくり爺さんを寝かせておいてショックによる記憶の消滅と時間による記憶の消滅の二段構えが最善の策だろうと考えたのだ。 ルナはまだ心残りがありそうなメルの背中を押して使用人の後ろに付いていった。
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