十三章

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ユウが赤目の事は知っていたが、実際に見たのは初めてだったためヒカルは驚いた。 「そうだよな……びっくりするよね…。でも、これが本当の俺なんだ。」 髪も紅くなっている。 「わーっ、仲間だよ?」 「でも敵だよね?」 「だからか、魔力低い割に使う魔法のレベルが高いのは……。」 少し抜けているヒカルにとっては若干理解するのに時間がかかった。 「そっか、普通幼いのにこんな強い魔法使えないよね!」 「そう、赤目が迫害されるのはその異形の様な容姿と異常なまでの魔力の強さにある。大抵は魔力の暴走で手が付けられなくなるんだけどね。」 「ユウちゃんはどうだったの?」 「覚えてないや。」 そう…と言ってヒカルは離れた。 「もうそろそろ出ないとダメだよね?」 「ずっと出ないとか卑怯だもん。」 しゅたっと音がして二つの影が降り立つ。 やはり幼くそれぞれ赤と緑を基調とした服を着ている。 「さっきから思ってたけど……双子だよね、なんで色が違うの?」 「多分、親が赤と緑で二卵性双生児だったんじゃない?」 「そうだよ、お兄さん。」 「それで赤目の僕らは捨てられた。」 「そしてここに拾われたんだ。」 「ここに入った時、頭領が言ってたんだ。」 「「世界を変えるためにはまずこの国を潰さなきゃいけない。」」 「なぜだかわかる?」 「ここが世界の要だから。…なんて言ってもわかんないよね?」 「わかるはずがない。クフフフッ。」 二人は笑いだしジロリとこちらを見た。 「「それを実行するためなら僕らは命を捨てても構わない。」」 双子は最後の攻撃を仕掛けようとしているのか辺りはまばゆい光が包んだ。 「ヒカル、俺が今からするのは人の道に外れる。それでも俺を信じてくれるなら戻ってきた時、笑って迎えてくれる?」 そう言って双子の方に向き直り歩みを進めた。と、言うよりあえて聞かなかったのかもしれない。 「できればあまり使いたくないんだよな……。」 聞こえないように呟いた。 ユウの周囲が揺らめき陽炎ができる。周囲の温度がだんだん高くなり朱色の光を持ちはじめる。 「アヒャヒャッ何する気?今からお兄さんは死ぬんだから。」 「僕らには敵わないさ。」 双子の言葉は届いていないようだ。 「返事しろよぉ。」 「「ガストバーンフレイムッ!」」 「邪魔だ………。」 ユウは片手で放たれた魔法を弾いた。 .
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