十三章

9/9
前へ
/267ページ
次へ
「これが本気?」 そう一言言うと走り出した。 スピードが増すごとに炎と同化していき、そして…… ―ジュウッ…… ユウは両手で双子の腹を貫いた。 人の肉が焼ける嫌な臭いが辺りに広がる。 「かはっ……つ…強いね、お兄さん……。」 「あんたが一番…弱い……って聞いてたから…油断しちゃった………。」 「俺は強くないよ?だって、ほら今痛くないでしょ?俺は弱い。」 「確かに……。」 「でも、……弱いんじゃ…なくて………甘い…。」 双子の呼吸はだんだん浅くなる。もう炎と同化していないユウは両手を引き抜く。 「「バイバイ…お兄さん達……。」」 目から光が消え、双子はドシャリと倒れた。 ユウはその体に炎を放ち、消えて灰になるのを見届けてから、躊躇しながらヒカルの方へと振り向いた。 「行こっか?」 ユウはぎこちなく笑う。 それをヒカルは満面の笑みで迎え血に染まったユウの手を引いた。 「早く行こ!皆待ってるから。」 .
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1053人が本棚に入れています
本棚に追加