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―ヒカルVSアヴァール―
「お前さ、全てを手に入れたいって思った事あるか?」
「無いよ。えっ、なんで?」
「いや、ただ聞いてみただけだ。」
「ふーん、そうなの。つーかさ、俺ら今闘ってるのに和やかな会話してるよね?」
「音声だけ聞いたらな。」
今、二人はお互い風をぶつけたり避けたり飛んだりしている。
それでも息切れしていないのだから感心してしまう。
「よっ……と…アヴァールはさぁなんでこんなとこいるの?」
「ぅおっ……知りたいかぁ?」
「ん……まぁね。」
するとアヴァールは動きを止めた。もちろんヒカルも止める。
「俺は全てを手に入れたかった。知識も力も金も権力も………。」
「うん……。」
「なぜこんなこと思うかわかるか?スラムじゃさぁなんかねぇと生きてけねぇの。その日を生きるのに必死で人の事なんて考える余裕なんてねぇ、弱肉強食だよ。」
アヴァールはどこかをぼんやりと見て悲しそうに言った。
「お前結構ぼんぼんだよな、匂いがそうだぜ?」
「匂い?………俺変な匂いする………?」
「馬鹿か、雰囲気の事だよ…。」
「ウヒャヒャッそうだよね~つって?」
「お前、真面目なんだか不真面目なんだかわっかんねぇな。」
「俺はいつも真面目だよ!」
「いつもそうだとは見えないけどな。」
アヴァールは苦笑し再び動き出す。
「さぁ……再開だ、ここからは本気で行くぞ!」
「OK!」
―ハヤトVS青い奴―
二人はお互い睨み合い動かない。
時々風や雷が近くに当たるが一切微動だにしない。
「お前……嫌じゃないのか………。」
唐突に聞いてきた。
奴の表情はグルグルと淡い青色の布が巻かれている為よくわからない。わかるとしたら目の下半分から鼻にかけてだ。
口の辺りが呼吸をするたびに上下している。
「何が………?」
「己が中途半端な種族の事。」
「うーん……特にそう思った事は無いな、別に嫌いじゃないし。」
「……………そうか。」
すると何か小さなものが頬を掠めた。
トンッと、音を立てて壁に何かが刺さった。
振り返るとかなり鋭く尖った氷の塊があった。
「危ねぇな……。」
「よそ見をしている場合か?」
上から尖った氷の塊を突き立てながら落ちてくる奴を辛うじて避ける。
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