十四章

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「で………できな……い。」 「いまさら弱音かよ………じれったい。」 レツはスッと目を細くし手を前に出した。 それに合わせて溶岩もユウへと向かって飛んでいく。 ユウは覚悟して目を閉じたが、 いくら経っても当たらなかった。 「なん……で………っ!」 目を開くと不自然に溶岩がユウを避けていた。 切れ間から見えたレツの顔はニタリと笑っている。 それを見て手加減されていることを悟り憤った。とたん、頭の中が真っ白になる。 ―同じ事が前もあった……? 「なんか思い出したか…?」 ―ない……絶対ない……… 「なんだよ……まだか……つーか無理か……いまさら無理か……………お前なんていらねぇよ。」 フッ……とユウの全てが真っ白になる。 ―殺せ……… 「ダメだ……。」 ―裏切ったのはあいつだ…… 「違う………。」 ―許すな…殺せ…… 黒く汚れた自分が語りかけるのをユウは全力で否定する。 「……そもそも覚えていないものをなんで否定してるんだろ…。」 ―覚えていないのか………? 「だって俺は知らない。」 ―欠けてるから……あいつが全部持っていったから…… 「あいつって誰だよ……。」 ―求めろ……力を… 「俺は………。」 ―なんだ…怖いのか……?お前を救ってやる……俺に預けろ…意識を…… 「嫌だ……。」 ―なら……… 「ユウ……どうした…、終わりか?」 「………………んぅっ?」 ニタリとユウは笑った。 ぶわりと魔力が溢れる。 「クフフッ……アハハハハハハハハハハハハハハハハッ……。」 「……ユウ……やっとか……?」 レツは悲しそうにユウを見た。 .
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