十四章

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「あ゛ーっ!ほんとやな奴選んじまった!」 「んふふ、でしょうね?じゃあ……終わりにしますか?」 「はっ………?!」 しゅうんっと小さな音がして赤が舞った。直後ナイトの膝が崩れ落ちる。 「さようなら、んふふ。」 「く…………くそがぁ……っ!」「痛かったでしょ?強がっているように見えたから楽にしてあげるんです……。」 左胸には風穴が空き、そこから血がぱたぱたと滴る。 リュウヤは無邪気に笑い、その表情を崩さない。 「悪魔……そう呼ばれる理由が今わかったぜ…。」 「心外ですねぇ…悪魔だなんて……。」 「あっさりと…殺すん…だな……。」 「んふふっ……忘れたんですか?ここは戦場ですよ。躊躇したら俺が殺られます。」 「それ…を……理由に自らを……正当化する…の…か……?」 「そんなのただ見苦しいだけでしょ?では、急所を外したようなのでもう一度……改めてさようなら。」 うっと小さく声が漏れる。直後体が前に倒れ込みそのまま動かなくなり風穴から一気に赤が広がる。 少し見てから身を翻しユウの元へ行こうとした刹那リュウヤを何かが貫いた。全身が麻痺し動かなくなる。 「み……見苦しく……ても…いい…最後…の…悪あ……が…きだ…。」 ニヤリと笑いナイトの目の光は消えた。どしゃっと魔法を放った腕が落ちる。 「や…ばい………ですねぇ…。全く……動け…ない…で…すよ……。」 腹部には大きな赤い染みがじわりと滲んだ。リュウヤの視界が歪む。目の前が闇の帳に覆われはじめひどい耳鳴りがした。 「ま……まじ…かよ………。」 リュウヤが意識を手放す直前見馴れた長身の影が見え、誰かの嬉々とした声が聞こえた。 ―ヒカルVSアヴァール― 「ウヒャヒャッアヴァール強いね~。」 「そりゃどーも、言っとくがお前も十分強いぜ?」 「ウヒャヒャッ、じゃあそこ避けてよ。」 「なんでそこでじゃあになるんだよ。つーかどちらにしろ願い下げだし。」 「ひでー、んじゃ倒すし。」 ヒカルの目が細くなった。 濃いオーラがその場に溢れた。 「やれるもんならやってみろ、レツ様とユウが終わるまで俺らは足止めを命じられてるんだ。だから是が非でも行かせねぇ。」 アヴァールからも緑色の光が放出される。 .
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