十四章

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「リュウヤ……リュウ………。」 息が浅い。 それに若干吐血していた。 「おねがい……おねがいだから……。」 ぎゅっと強く抱きしめる。 しかし無情にも血は止まらない。 「おねがい……リュウヤを助けてよぉ………。」 「………で……。」 「えっ?!」 「………い……で…。」 リュウヤだった。 微かだが口が動いた。 ぼんやりとした目でヒカルを見た。 「リュウヤっ!」 「な……かな…い………で…。」 その一言を言ってゆっくりと瞳を閉じた。 「りゅっ………うん、泣かないよ……泣かないから……。」 またふわりとペンダントから光が出た。 リュウヤを覆い傷が癒えていく。 しばらくしてうっすらと目を開いた。 「……ん………。」 「リュウヤぁっ!」 「……何がどうなって………。」 「大切な人が俺らを助けてくれたよ。」 「あっ……。」 そして今自分が光に覆われているのに気が付いた。 「んふふっあなた泣いてたんですか?」 「……えへへっ…。」 「ごめんなさい、油断した俺が悪いんです。」 そう言ってヒカルの涙を拭った。少しヒカルは照れる。 ペンダントの石が輝き、一筋の光を放った。その光はリュウヤ、ハヤト、コウイチの順に巡り最後にユウに当たる。 「……………?」 しばらく当たっていた光はパッと消えた。それと共に辺りを覆っていた禍禍しい気配も消える。 「………少しだけ……思い出した……。」 ユウは今まで伏せていた顔を上げた。 その顔には今までとは違う瞳の輝きが見えた。 「レツ……お前は俺のなんなんだ………?」 .
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