十五章

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「ユウはどっから来たの?」 家に連れてきて真っ先に聞いた。 聞いた瞬間、体をビクッと震わせたから今の俺より余程酷い生活をしてたことがわかった。 「大丈夫、言わなくて良い。」 辛かったんだね、と言ったらユウはボロボロ泣き出して……でも、声は無かった。 ひゅうっと息をする音しか聞こえなかった。 しばらく経ってスラムにも馴れてきた。 ユウは相変わらずだったけど、 少しだけ前より明るくなった気がした。 「ユウ、ただいま!」 おかえり、と透明な声で言った。 こん時俺は盗みで生計を立ててたから捕まって殺されかける事も いくらかあった。 『キョウハダイジョウブダッタ?』 帰ってくる度に透明な声で俺に 聞いた。 だから俺はいつも心配させない様に返した。 「大丈夫だよ?」 そう言うとユウは安心したように笑うから俺も笑った。 そんな毎日だったから嬉しかったし、楽しかった。 二年ぐらいしてユウも俺と一緒に盗みを始めた。 その頃にはもう声が出せるようになってた。 「ユウ、そっちだ!」 「了解!」 ユウは頭がよかったからミスってもすぐに別な計画を立てれた。 だけどその日は違った。 そのバザールの役員共がよくわかんねぇ連中を雇いやがった! ―ぐしゃり 「ぐ………っ。」 「ユウっ!」 ―ぐしゃりぐしゃり 「やめろぉぉぉぉぉっ!」 そいつはナイフで何度もユウに 突き刺した。 ―ぐしゃりぐしゃりぐしゃり 赤目は滅多な事では死なない。 そいつはそれを知っていたから 何度も突き刺してユウを生き地獄にさらした。 「ぐふっ……………あっ…。」 もちろん不死身じゃないから圧死もするし焼死も溺死も失血死だったある。 ただ人より丈夫なだけ、丈夫な分だけ普通の奴より苦痛を味わう。 「こんにゃろおっ!」 近くに落ちていた石を使って砕けるほど殴ったけどそいつは変わらずユウを突き刺した。 怖くなった。 魔法を使えない俺はあまりにも 無力で助けることさえ出来なかった。 赤いユウが更に赤く染まって……………… そこからは真っ白で何も覚えていない。 ユウは何故か傷が無かった。 奴は死んでた。 そのあたりから俺はユウとあまりうまくいかなくなった。 .
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