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「ユウちゃん……髪が紅くなってる!すごい綺麗!」
「だな……つーか帝王の魔法、発動しなかったな?」
「ですね、時はまだって事ですかね?」
「多分ねぇ……。」
「うん!なんかユウちゃん笑ってるのに泣いてる!」
一筋の涙がユウの頬に伝った。
「室長~っ!」
「レイル!どうした?」
「残党はどうします?滅しますか?」
「いや、とりあえず事情聴取してそれからだな。」
「わかりましたぁ、そしたら尋問にかけるんですか?」
「まぁ……法で裁かないとな?」
「了解で~す、じゃあ先に戻っててください。」
「あと、よろしくな?」
へーいと怠い返事をして現場に戻っていった。
「リーダーはレツの事を知っていたんですか?」
「まぁ……ね、でもその時は任務をこなす上での厄介者でしかなかったの。」
「じゃあ俺とリーダーで行った時もいたのか?」
「うん、レツはトーテムの載ってある文献を片っ端から集めてたみたい……。」
「なら彼は知っていたんですね、伝説として語られているトーテムが実在することを………。」
コウイチは無言で頷いた。
「これで三つ証明された……って訳か。」
「あと二つ………俺のライガとヒカルの………なんでしたっけ?」
「おいっ!そこ大事!ダンプウ!最近召喚してないけど忘れないで!」
「すみません、ダンプウに謝っておきます。」
「えっ……俺は?」
「そのうちね………。」
「あ……う…あ……あのさ…………ユウちゃんってさ……記憶が戻ったからって変わらないよね?」
若干目を潤ませながらヒカルが聞いてきた。多分少し前辺りから心配していたのだろう。
「何言ってんですか?変わるはずないですよ、どんだけそれに影響受けてる事になるんですか?」
「だよね、よかった……!」
「あいつの話聞けば今と変わんねぇじゃん?」
「だから大丈夫だよぉ、ふふっ………みんなで帰ろぉ?」
にまっとコウイチは笑ってユウを担ぎあげた。
「ちょっ……少し手荒いよ………リーダー………。」
「大丈夫、ユウちゃんだもん。」
「その根拠はどこから……。」
「ユウちゃんだもん。」
気にせず、ふにゃりと笑いながら行こ行こ…と言って三人を急かした。
この時ユウは意識はないのにどこか幸せそうに笑っているように見えた。
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