十六章

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ヒカルがぐらぐらした視界で 捉えたのは一定の距離を保って 後ろからついて来る四騎の旅人。 しばらく見ていてさすがのヒカルでもおかしいことに気が付き、 戻ろうとしたが途中で気が付かれてしまうことにまた気が付き、 悩みに悩んだ末に出てきた答えが風に言葉を乗せて伝える方法だった。 「俺これ音量調整出来ないんだよね~っ!」 いつものように高く笑いながらハヤトへ風を飛ばした。 「おっ………風……。」 若干暑さが残る空気にぼーっとし、横に猫が丸まっている、何とものほほんとした雰囲気に何かボソボソと呟く風が通り過ぎ、ハヤトは驚いて辺りを見回してしばらくしてからヒカルの風だと言うことに気が付いた。 「………………全然何言ってるかわかんねえし……。」 「…しろ…いっ…い……りであ…を………れてる。」 「………?」 「う……を……て…きょ………と…つけら……。」 「ふーん……そうゆう事ね。ユウちゃん、俺ら付けられてる。後方注意!」 「了解、つーか誰情報?」 「ヒカルから。」 「飛んでるのね……。」 「そっ……。」 そんな事を話していると後方から何かが飛んできて地面に刺さった。 「………矢だ……。」 「ハヤト………あいつらがスピード上げてきた。どうする?」 「どうするもこうも進むしか無いね、相手は多分WCJC残党。事情を知らない奴が多いみたいだからやり返しに来たんだろうね。」 「………手間とらせやがって…………コウちゃん防御壁張ってくれる?」 「ん…………ふぇっ……いーよ………うん。」 青い光が一瞬覆いウトウトしながらへにゃっと笑った。 「ありがと、ハヤトスピード上げて!俺、足止めしてくる!」 「大丈夫なのかっ?!」 「まあね。」 ニヤリと笑ってドアを開け飛び出した。直後に赤い光が炸裂し、ユウは空に飛び上がった。 「レッカ、翼借りるよ。」 『いいぜ、だが無理すんなよ。』 ホバリング状態から一気に急降下する。 「馬って火が苦手なんだよね。」 ボソリと呟き左手に炎を点した。 「リアマ・イルシオン!」 地面から勢いよく炎が上がり、馬は急停止した。渦を巻くように炎を操り逃げ場を無くした。 「くそっ……どうなっている………。」 「進めっ!進まんかっ!」 ぶるるっと弱く鳴いてその場を足踏みした。 .
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