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「かけるくんは、ちょっと難しくかんがえすぎなんだよ」
そう言って、大崎くんに頭を撫でられた。
「寿くんだって、そんな状態でずっと付き合ってられる程、人間できてないよ。」
二木は呆れたように笑って、“今は熱を下げなさい”そう言って薬と水を差し出してくれた。
ありがたくそれを飲み、二人は泊まっていくように言ったけど、タクシーを呼んで帰宅することにした。
二人にうつしたくないと言えば、諦めたように了承してくれた。
自宅に到着して、だるさにふらふらとしながらベットへ直行する。
ベットに倒れこんで、布団をかける気にもなれずにそのまま、熱にうかされるように思考を巡らせる。
みんなに、悪いことしたな。
ボゥとする頭は、考えながらも違うところに意識を持ってかれるみたいだ。
寿のことが頭でいっぱいだ。
好き。
好き。
でも、嫌い。
記念日を忘れた彼。
俺を好きじゃない彼。
彼を解放できない自分。
最低だ。
最悪だ。
段々と薄れていく思考は全て自分を罵るもの。
好きなのに、伝わらない想いを、嘲るもの。
薄れる意識。
もう、指一本だって動かせない。
息が段々と荒くなり、気道をうまく確保できない。
もう、マジでだめかも。
「かけ、る…ッ」
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