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すぐに駆に駆け寄る。
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返す彼。
上着を脱がせ、楽な格好に着替えさせる。
それから布団にしっかりと彼を寝かせて熱を計った。
触れた肌は、二木の家にいるとき以上に熱くなっていた。
滴る汗を拭ってやる。
鳴り響いた機械音。
確認すれば、40度近くの高熱。
すぐに栄養ドリンクと薬を用意する。
タオルを濡らし、彼の額に乗せてやる。
これで、少しでも熱が下がればいい。
薬を飲ますのに、駆を起こそうとしたが、だめだった。
少し躊躇したのちに、薬と栄養ドリンクを口に含み、彼に口づけた。
コクリと、彼が飲んだのを確認して、唇を離す。
「唇まで、あちぃ」
その熱は、まるで行為の最中のよう。
熱い舌と唇を思いだしただけで、胸がいっぱいになった。
「かける、かける、」
早く、元気になって。
大切な恋人。
いつも俺のことを大切に想ってくれる、俺にとっても大切な人。
愛しくて一生手放せないだろう彼。
いつも、なにか間に壁を感じる最愛のひと。
その壁がなんなのかはわかない。
でも、もしそれを解くことができればきっと、駆と俺はもっと近い存在になることができるだろう。
眠る恋人の額に口づけ、彼が起きたときのために食事を用意することにした。
そして俺は、自分の過ちを気づくことになる。
「―――マジ、かよ」
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