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「…っ、最悪だ。」
手に持った体温計は、滅多に出さない体温を示していた。
朝からぼうっとしていた頭にも説明がつく。
朝、何故かダルい体に鞭打って仕事にきた。
今日はこれだけだからときた仕事。
仕事終了後に医務室で熱を計れば、高温を示す機械。
熱がわかった途端、何故か気分が悪くなってきた。
―――俺は子供かっつうの。
自分にムカつきを覚えて、眉間には皺が寄っていた。
医務室から出て、荷物を取りに楽屋へ向かう。
なんで今日なんだ。
今日は、寿との1年記念日。
たとえ、寿がいなかったとしても、自分はこの1年を振り返ってみようとか。
小さくひとりでワインでも開けようとか。
そんな考えをまるで否定するように上がった体温は、自ら寿とのことを否定しているようで悲しくなった。
楽屋の戸を開けて、荷物に直行しようとした、ら、
「あ、駆さんだ」
「おはよーかけるくぅーん」
ゆるい雰囲気をかもしだしながら、二人隣り合って雑誌を読む、二木と大崎がいた。
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