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「今なんて言った?」
テーブルの向かい側で下を向いてしまった彼女に、俺はそう聞いた。
「川口さんて……、耳が遠いんだ」
「おいっ!」
俺はテーブルの向こうの彼女の傍に近寄った。
すると彼女が後ろに逃げようと身体を移動させる。
その彼女の腕を掴み俺は聞いた。
「キスしてもいいか?」
「ダメ」
「なんで? ちゃんと聞いただろ」
「聞いてもダメ」
そう言う彼女の唇に触れようとした。
「ぎゃー! やめて!」
「なんでっ!」
「好きになっちゃったら困るからっ!」
「好きになればいいじゃないかっ!」
彼女の言葉で俺の鼓動が大きくなるのが解った。
(彼女も俺に惹かれている……、好きになり始めているって事なんだよな?)
彼女の言葉の意味を俺はそう解釈した。しかし、そんな俺に、彼女は言った。
「アタシ……、川口さんみたいな人好きになんかならない……」
(えっ……)
どういう事だ?
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