23の背中

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  聖夜「うおっ、もう楽屋に拓巳だけ?」 『そうだよ、早く皆の所行かなきゃ』 一磨「みんな早いなー、」 やっと戻ってきた二人は、ガランとした楽屋を見て少し驚いている。 楽屋を見渡す一磨につられて、僕と聖夜も見渡してみる。 ほんとここでは色んなことがあった。 その色んなことが一磨の頭にも、聖夜の頭にも駆け巡ってるんだろうね? 聖夜「楽しかったな、」 一磨「色んなことあったもんな」 『…うん、』 それぞれが思い出に浸りながら、僕たちは笑みを零す。そして僕は、それを横目で見た。 泣き虫だった聖夜も今ここにはいない。 甘えん坊だった一磨も今ここにはいない。 それがわかるほどの、成長した顔だ。 今ここにいるのは、皆をまとめて、叱るべき所を叱り、誉めるべき所を誉める、全員を引っ張ってくれた聖夜がいる。 今ここにいるのは、影で皆をフォローして、支え、見守って、笑いも厳しさも優しさも皆に届けてくれた一磨がいる。 その強さある二人に僕はいつだって助けられてきたんだ。 『…ありがとう』 一磨「…な、なんだよ、いきなりー。気持ち悪ぃよ」 聖夜「そ、そうだよ!そんなしんみりするなんて、らしくないよ?」 『あはは、確かに!』 僕が笑うと、二人もつられたように笑って、僕の頭や肩を叩いてくる。 そのいつもと変わらない瞬間が、涙を誘う。 けど、泣かないよ。(昔の聖夜みたいだもんね、)笑 一磨「、そろそろ行くか?」 聖夜「行っちゃいますか!」 『先、行ってて。すぐに行くから』 聖夜「え、なんで………」 一磨「…わかった。ほら、聖夜行くぞ」 聖夜「Σぅえっ!?」 疑問を持つ聖夜を一磨は引っ張って、楽屋を出た。 バタン、という音を残して。 『一磨、聖夜、ありがとう』 二人の後ろ姿にお礼を言う。 返事が来ないのは知っているけど、言わずにはいられなかった。  
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