(´<_` )は気付くようです

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そして、兄はしばらく黙った後『悪かった』と一言呟いて出て行った。 家に電話が掛かってきたのは、その10分後くらいだったか。俺がビールを取りにリビングのドアを開けたら、父が車の鍵を探してて、母はただ啜り泣いていた。 俺に気付いた父に、『兄者が車に撥ねられた』と聞かされたが、正直あまり興味がなくて。 死ぬのかな?と軽く思ったが、奴に死んでくれと頼んだのは俺だからな。なんら構うこたぁねぇじゃねぇか。 そんな俺の思考とは裏腹に、無理矢理車に乗せられた後病院に連れていかれてしまった。 手術が結構長かったんだよな。俺は早く帰りたくて仕方がなかった。でも親父に引き止められて、何時間だったかな?とにかくすげぇ長くて面倒臭かった。 手術が終わって、医者が『今夜が峠です』っつったのには吹くかと思ったな。ねぇ、それ真面目に言ってんの? あぁ、あとあれだ。ご家族の声援が頼りだとかなんたら。本当に家族が声掛けるか掛けねぇかで生死が決まんのか?そんな簡単なもんかねぇ? 兄が個室に移されて、泣きながら母は奴の手を握った。父はひたすら頑張れと言っていた。 俺はもちろん無言だ。部屋の角で傍観してる。なんでこんな兄に時間を取られないといけないのだろう。疲れたから、今日は帰ったらすぐ寝よう。そう思っていた時だった。 ピーーーーーーーーー その場にいた俺以外の全員が息を飲み、無機質な電子音以外には一切の物音がない空間が保たれたのは一瞬だった。 、
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