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何も変わらない毎日が今日……変わってしまった。
平凡で退屈な毎日にたった今、終止符が打たれようとしている。
「……っ」
柄にもなく動揺してる。
いや、動揺しない方がおかしい。
卑しい笑みを浮かべ静かに近付いてくる化物。
その笑みに背筋が凍り付く。
――気持ち悪ぃ!
俺は無意識に身体が震え、この世の終わりかと脳裏が勝手に想像してしまう中、見知らぬ声がその想像を掻き消した。
『オマエに対抗しうる力を与える』
――え……?
瞬間、俺の身体を縛っていた物が消えた。
――ラッキー!
俺は動くようになった脚に力を入れ、その場から背を向け走り出す。
もう、逃げるしかねぇっ!
俺は複雑な道となっている通りに逃げ込み、進んで行く。
化物も追い掛けて来ているようで、未だに悪寒が止まらない。
というか、本物に気持ち悪ぃ……。
俺は一角を曲がり、自分の失敗に気付く。
――行き止まり?!
慌てて引き返そうとした俺に、一瞬の浮遊感と、激痛が襲った。
どうやら、相手に吹き飛ばされ、壁に激突したらしい。
冷たい地面の感触が手から伝わって来る。
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