天狗とカメラ

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俺は高校2年の陽翔。 将来の夢はカメラマンだ。 そんな俺が出会ったのは…… 自分を天狗だと名乗る少女だった。 「天狗だぁ?」 「そうです! どこから見ても天狗でしょう?」 そう言って彼女は胸をはる。確かに天狗っぽい被り物や羽はあるが…… にわかに信じがたい。 「証拠を見せてくれ。何か天狗らしい事はできないのか?」 「証拠ですか……分かりました。では」 彼女は服の下からうちわを取り出す。そして扇いだ。 すると、後ろで木が切れた。 唖然とする俺に、彼女は得意気にふふんと鼻を鳴らした。 「……でも、それって別に天狗って決まったわけじゃなくね?」 「うっ……それは……」 急に大人しくなる少女。 「まあいいや。あんた名前は?」 「文です。射命丸文。幻想郷で新聞記者をやっています」 文は服の下からカメラを取り出した。いや、どうなっているんだその服の下は。 「あなたもカメラを持っているみたいですね。新聞記者なんですか?」 「いや、学生だ。将来の夢はカメラマンだけどな」 俺が言うと、文は「仲間ですね」と笑った。その笑顔が可愛くて、思わずシャッターをきる。 すると文はみるみるうちに真っ赤になった。 「ななななにをっ!?」 「自分でカメラ持っているのに撮られるの苦手なんだな」 「じ……自分が撮られるのは恥ずかしいですよ……」 恥ずかしそうな顔も可愛い。思わずパシャリ。 「うぅ……、そんなに撮らないで下さい~」 これが、俺と文の最初の出会いだった。
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