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《優輝視点》
「それにしても……」
「また同じクラスだね」
教室へ向かう途中で真人が呟いた言葉に、僕は反射的に答えた。
僕と真人は、幼稚園の頃からの友達で何回も同じクラスになってきた。
というよりも違うクラスになったことが無い。
「運命かもな」
感慨深い声で、しかし、にやついて言う真人。
確かに感慨深いけど……
「真人きもいよ」
「ぐはっ、お前真顔で言うか?……俺は傷ついた」
「あっ、教室に着いたよ」
「スルーですか!?俺の心の傷はお前にとってそんな軽いものですか!?」
「うん」
僕はうるさい真人を一瞥すると、見えるように大きく頷いてやり教室に入った。
教室に着くと、教室に居る人は一度こっちをチラ見して会話に戻る。
まぁ、初めての顔合わせなんてこんなものだろう。
「後、二十分くらいで移動かな」
「ひでーよ、優輝がそんな奴だったなんて知らなかったぜ」
真人はまだブツブツと言っている……正直ウザい。
「おい、声に出てるぞ!」
でも、僕はコレの機嫌を直す方法を知っている。
「また無視!?ねぇ無視!?」
「真人」
「お、何々ー?」
「ウザい」
「…………」
真人は力尽きたようだ。
目の前が真っ白「になってねぇから!せめて、屍にしてくれよ!問答無用で所持金取って街に戻すんじゃねぇよ!」
さて、一発で元気になる方法を試す前に機嫌が直ってしまった。
また次の機会だね。
真人は完全復活したようで、クラスの新たな仲間に話しかけに行っている。
これは真人の凄いところだ。
性格が良く話上手だから、見ず知らずの他人とさえも直ぐに仲が良くなる。
見た目も良いからモテるしね……そのせいでナンパ癖が出来てしまっているのもあるんだけど。
真人の紹介も終わったし時間まで寝ようかな。
僕はそう思って座席表を見て自分の席に向かったんだ。
……そして、彼女を見つけた。
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