苺の消しゴム

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彼は、中学2年生になる少し前に、転校生としてこの町にやって来た。 ってことは、今から5年も昔のことになる。 その日は朝から外がうるさくて、いつもなら昼頃に起きる私が、午前9時に目を覚ました。 パジャマのままリビングへ行き、母親を探したが、見当たらなかった。 ソファーに父親が同じくパジャマのままで新聞を読んでいたから、聞いてみることにした。 「お、今日は早いな、春月(アツキ)。ママならこの社宅の下の階の引越しの様子でも見に行ってんじゃないかな」 「引越し?だからうるさかったんだ」 「三浦って人が来たんだよ。パパの同僚。春月と同じ歳の男の子がいたはずだぞ。多分、同じ中学になるだろうな」 「へぇ…」 思春期の私は、特に気にしてない素振りをしながらも、内心は結構な興味を抱いてたを覚えてる。
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