1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっとあんた、何で避けんのよ。そこは抱き留めるのが常識じゃないかしら」
女は敬太にぶつかりそうになったのを謝りもせず、逆上し始めた。敬太は訳も分からず戸惑う。
「え…あ…そ、そうなんですか」
「そうよ!全く…あ、私誰だか分かる?」
女にそう言われ、敬太は女をまじまじと見た。女の顔が赤くなる。
髪はボサボサだが、金色の長髪に、外国人のような大きな目、プクッとした唇。こんな美少女を敬太は一度も見たことはなかった。
「すみません。分からないです」
「はあ?世界有数の科学研究所、西園寺科学研究所の所長である西園寺要の一人娘、西園寺エリカを知らない?一応私、学校では有名人って自負はあったんだけど」
「すみません」
「あと私、ワープロ部の先輩でもあるわ。ま、入ってるだけで一度も行ったことないけど」
「すみません」
「別に謝らなくていいわよ!」
エリカが突然怒鳴った。敬太はエリカの挙動不審な言動が怖くなり、この場から立ち去りたい気持ちになっていた。
何なんだろうこの人…。
最初のコメントを投稿しよう!