第1話『神崎 鈴音』

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 空には雲ひとつ見当たらない快晴日和。心地よい天気は桜が散り始めたという悲しい事実を吹き飛ばし、みんなの心を穏やかにする。  余程の捻くれ人間を除いて、この季節が嫌いな人は多分いない。もちろんあたしも捻くれじゃない方の一員だ。  一年生でお世話になった教室とはオサラバして、新しい教室と新しい机にファーストコンタクト。  学年が繰り上がるのに合わせて教室のある階も二階から三階へバージョンアップ。遅刻の危険性もアップで少し頭は痛いけど、今は忘れることにする。  出席番号順のせいで廊下側に追いやられてるのも、また席替えとかでなんとかなる問題。  不満はちょっとあるけど、初めまして。これから一年よろしくね。  と、軽く引っ越しの挨拶をして、頬を机にくっつけた。
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