早すぎた別離

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 今日の晩飯のため魚釣りをすることにした。  近くの川でするのはなんとなく面白くないので、ちょっと離れた、山を2つ越えたところの森ですることにした。  だいぶ離れたが、家には帰りが遅くても心配する人間がいないのだ。  そんなわけで、釣りをエンジョイ。  俺は根からのアウトドア派なのだ。 「…………平和だ」  世間は戦やら、賊やらで、暗い話題ばかりだが、こんな風な幸せこそ人間には大事だと俺は思う。  だから俺はこれからの数日を、大切に大切に過ごすことを心に決めた。  ―――――と。  どこからか悲鳴が聞こえてきた。  いや。  気のせいだ。今のはきっと気のせいだ。  しかし残念なことに悲鳴はどんどん近づいてきた。  やめてくれよ。俺は平和に生きたいだけなんだ。それを初日から崩そうとしてんじゃねーよ。俺は平和記念像になるんだよ。 「たすけてぇ!」 「まてこらぁ!」 「逃げてんじゃねえ!」 「もう、なんなんですか!」  振り返ると、なにやら可愛らしい少女が数人の男達に追いかけられていた。  大方強姦だろうけど、俺は釣りで忙しいのだ。勝手にやってください! 「ちょっと君助けて!」  豊富な胸をした可愛らしい顔の少女が俺を盾にするように回り込む。 「じゃますんなやガキ!」  なんなんですかもう。勝手に俺を巻き込むのやめてくださいよ! 「さっさとどかねーとぶち殺すぞ!!!」  ギロリ、と俺を睨む。  やめてくれよ。 「俺は平和に生きんだよ」  その呟きは、誰にも聞き入れられなかったのだ。
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