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俺はまず、近くにいた男を上段蹴りでぶっ飛ばした。
「てめえ、どういうつもりだ!」
一人の男が獣のように歯を剥き、威嚇する。
恐いよ。やめてくれよ。俺は気の弱いインキャラ少年なんだよ。
いつの間にか他の三人も俺を囲んでるし。
放置されている少女は、何かやれー!やっちゃえー!なんて可愛らしい応援してるし。
「殺されてえみたいだなあ、おい」
「いや、俺そんなマゾ野郎じゃねーし、それに」
「あ?」
「こんな可愛い子、おまえらには勿体ねーよ」
剣を抜き、目の前にいた男の腹を蹴り上げた。
前のめりになったところを、顎目がけて裏拳。
無駄な殺生はしない。
俺は、人殺しを好まない、平和主義者なのだ。
まずは、一人。
しかし、そのうち二人が左右から斬りにきた。
それを前に転がることでよける。
振り返れば、その二人はお互いを斬ってしまっていた。
残り一人。
圧勝だ。
あたりまえだ。彼らと俺では踏んだ場数が違うのだ。
「で、まだするか?」
「く、来るな!」
男は悲鳴を上げて逃げていった。
なんて情けない。彼らには大和魂というものがないのだろうか。ここ日本じゃないけど。
「あの、ありがとうございました。それと、すみませんでした」
振り返ってみれば、先ほどの少女が頭を下げていた。礼儀正しい少女ではないですか。私は関心しました。まだまだ世の中捨てたもんじゃないな。
「許す」
短く言って俺は釣りを再開することにした。いいことしたから、直にサーモンが釣れるはずだ。いや、この際何でもないから釣れてほしい。実は昼間から何も食べていないのだ。
「あのっ」
少女が俺に話しかけてきた。
なんだよ、俺は集中してんだ。またやつを釣るなんて勘弁なんだよ。
「釣れてないんですか?」
痛いところをつくじゃないか君は。だが君は何か勘違いをしている。
「いや釣れてるさ、でっかいカエルだったが」
何て名前かはしらないが、めちゃくちゃでかかった。かかったときは、大物かと思ってかなりテンションが上がったのを覚えてる。その分、ガッカリ感も凄いものだったが。
「それ魚じゃないよ」
もっともだ。しかしそろそろ本当に腹が減ってきた。熊狩りにでも行こうか?いかんせん、俺はまだ食べ盛りだ。食物連鎖とは常に非常なのだ。
「よかったら私の村に来きてよ。お礼にご飯ご馳走するよ?」
「何だって?」
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