天のなんたら

9/9
前へ
/205ページ
次へ
「ま、そういうわけだから気にするこたねー」  痛い、痛いから首に噛み付くな優希。 「ははは」  その光景を見て一刀は笑っていた。瞳に少し涙が浮かんでいたけど、きっと気のせいだ。 「なんだよ、いい顔して笑えるじゃねぇか!その顔………つーか気持ち、絶対忘れんなよ。お前は笑ってる方がカッコいいんだからよ」  今の俺ちょっとかっこよくなかったか?  同意を求めるように視線を後ろに向けると。 「義斬って、そっちの気があったの?」 「大丈夫です主。私はそういう趣味の人間にも偏見を持たぬよう頑張りますので」 「まさか俺まで狙ってるんすか、隊長?」  引き気味の視線で俺を見てくる一同。聞こえません。私は何も聞こえません。 「義斬」  おそるおそる俺は振り返る。お前も変なこと言わないでくれよ一刀。俺はスライド式携帯電話の画面並みに傷つきやすい性格なのだ。 「ありがとう」 「…………ああ」  やっぱいい奴だよこいつは。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1526人が本棚に入れています
本棚に追加