人生の岐路

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     ▽ 「義斬先輩と趙雲さん遅いな」  今俺は宿の一室で啓治とその二人の帰りを待っていた。啓治は何か熱心に読み耽っている。妙に息が荒いが、どうしたのだろうか。  俺が義斬先輩と読んでいるのは、雰囲気がやんちゃな兄さんっぽかったからだ。  最初は兄貴って呼んでいたが、義斬先輩が「おっかねー姉貴ができちまうからやめとけ」と言われたからやめた。  話しの流れで義斬には姉がいるらしいけど、皆そのことはよく知らないらしい。 「多分もうちょいかかると思うぜ。あの二人妙にいい雰囲気だからな。もしかしたら他の宿でやってるかもな」  読み終えたらしい啓治が顔を上げて言う。 「え?そうなの?」 「ああ。隊長はこの中で一番長い付き合いのが星さんだからな」 「へえ」  この世界はおかしい。それはよくわかった。  趙雲さんも女だし、司馬懿である優希ちゃんも女だ。それに、周倉である啓治と三人が一緒にいること事態がまずおかしい。  まだ頭は混乱してるけど、爆発しないのはきっと義斬先輩のおかげだろう。 「それより、テメーはえらく落ち着いてんな」 「え?ああ、うん。まだ完璧とは言えないけど、義斬先輩のおかげで一応は自分の置かれた状況も理解できたし」 「いや、そうじゃなくて。お前明日曹操様のとこに仕官するんだろ?心の準備とかよお。天のなんたらってだけで、一応は士官できると思うけど、ちゃんとしねえと利用されるだけされて捨てちまうぜ。ただでさえ、曹操様はあっちの気の人なのに」  ―――――え? 「ちょ、ちょっとまって。曹操って、あの曹孟徳?」 「ああ、そうだ」  え? 「ええぇぇぇぇえええーーーっ!!!」
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