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「義斬先輩と趙雲さん遅いな」
今俺は宿の一室で啓治とその二人の帰りを待っていた。啓治は何か熱心に読み耽っている。妙に息が荒いが、どうしたのだろうか。
俺が義斬先輩と読んでいるのは、雰囲気がやんちゃな兄さんっぽかったからだ。
最初は兄貴って呼んでいたが、義斬先輩が「おっかねー姉貴ができちまうからやめとけ」と言われたからやめた。
話しの流れで義斬には姉がいるらしいけど、皆そのことはよく知らないらしい。
「多分もうちょいかかると思うぜ。あの二人妙にいい雰囲気だからな。もしかしたら他の宿でやってるかもな」
読み終えたらしい啓治が顔を上げて言う。
「え?そうなの?」
「ああ。隊長はこの中で一番長い付き合いのが星さんだからな」
「へえ」
この世界はおかしい。それはよくわかった。
趙雲さんも女だし、司馬懿である優希ちゃんも女だ。それに、周倉である啓治と三人が一緒にいること事態がまずおかしい。
まだ頭は混乱してるけど、爆発しないのはきっと義斬先輩のおかげだろう。
「それより、テメーはえらく落ち着いてんな」
「え?ああ、うん。まだ完璧とは言えないけど、義斬先輩のおかげで一応は自分の置かれた状況も理解できたし」
「いや、そうじゃなくて。お前明日曹操様のとこに仕官するんだろ?心の準備とかよお。天のなんたらってだけで、一応は士官できると思うけど、ちゃんとしねえと利用されるだけされて捨てちまうぜ。ただでさえ、曹操様はあっちの気の人なのに」
―――――え?
「ちょ、ちょっとまって。曹操って、あの曹孟徳?」
「ああ、そうだ」
え?
「ええぇぇぇぇえええーーーっ!!!」
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