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夜というのは必ず明ける。明日が来てほしくなくとも時間は進み、朝はくる。どんなに強く願ってもそれだけは変わらない。
そんなわけで、来てほしくない朝を迎えた俺は携帯の時計を見た。
ただいまの時刻――――不明。
残念なことに俺の携帯電話はすでに息をひきとってしまったようだ。
寝不足のせいか、頭はまだすっきりしない。気分はただ憂鬱だ。
このままずっと寝ていよう。
だがこの時俺はまだ知らなかったのだ。
この世界には、俺が使っていた目覚まし時計なんぞ霞んで見えてしまうほど、はるかに強力な目覚まし時計があることに。
「かずちゃーーーーん!!あっさだよーーーー!!」
外れるんじゃないかってくらいドアが勢いよく開かれた。
なんだなんだと俺が起き上がるより早く、小さな人影はもう攻撃を開始していた。
その子は俺の腹部に――――
「ぐはっ!!」
あばらが!あばらがあぁ!!
「早く起きて、曹操ちゃんとここいよ。俺たちは先に行っとくからな」
ドアのところから義斬の声が聞こえた。
「城だから場所ならわかるよね。門番の人には事前に言っとくから心配しないでね!」
じゃ!と元気に手を振り優希ちゃんは部屋を出ていく。
「ま、まっ…………て……がくっ」
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