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人生何があるかわからないもので、昼間どれだけ元気だったとしても、突然死んでしまう事もあるらしい。
自分がそうだったわけだが……………、今思い出しても馬鹿らしい。
原因は、一人の見知らぬ少女。
その少女は飼っているのであろう犬を追いかけて、やっと追いついて、その小さな身体を抱きかかえた。
俺はその光景をぼんやり眺めていた。
それはよかった。
――――片側車線ど真ん中じゃなかったら。
「――――バカ!」
反射的に、俺は駆け出して、少女の襟首を掴んで後ろに引っ張った。
鼓膜を貫くようなクラクション。刹那の思考。
あいつら、泣くかな。
▽
目が覚めたら、空を眺めていた。
また屋上で昼寝をしてしまったみたいだ。
あれ?
身体がなぜか動かない。
「動かさないで!頭を打ってるかもしれないわ!」
女性の声が聞こえた。すげー焦ってる。でも誰だ?綺麗な人だけど、知らねーな。
「いっ、いやっ………義斬!義斬!」
虚ろな視界に見知らぬ少女が映った。
俺が助けた少女じゃない。
おかしな?何でこんなにぼやけてんだよ。
つーか、義斬って誰だよ。
「……………」
ああ、そっか。
俺は、はねられたのか。
うーん、それにしてはよく助かったな。
耳元で、ワンワンと犬が吠えている。
さっきの犬か?
「いやだっ、どうしよう、血が、こんなに………っ!」
うるせえぞ少女。
可愛い顔してんだから、泣いてないで、笑えよ。
…………眠い。
昼寝はしたはずだが、まだ寝たりないのか。
じゃあ寝よう。
ゆっくりと瞼を閉じようとして。
「義斬………っ!」
だから、誰だよそれは!
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